令和8年9月25日金曜日、ブログ担当の平盛です。
朝晩がだいぶ涼しくなってきました。
真夏の日中にはあまり見られなかった小動物(イタチやテン、タヌキ、アナグマ、他)が歩いているのを見かけます。
今回は真夏でも関係なく毎日活動しているアブラコウモリについて。
「天井裏からカリカリ、カサカサ音がする」
「家の外に黒い糞がたくさん落ちている」
「天井や壁に茶色いシミが出てきた」
「なんとなく家の中が臭う」
こうした異変が重なっている住宅では、普段目にすることのない屋根裏や壁の中で、動物が生活していることがあります。
今回伺ったのは、広島県広島市の戸建住宅。
調査を始めると、屋根の隙間や桁まわりから建物内部へ出入りしていると思われる痕跡が見つかりました。
さらに周囲を確認していくと、外壁には黒い糞が多数付着し、侵入箇所の真下にも糞が溜まっています。
そして屋根裏を確認すると、そこにはかなりの量のアブラコウモリの糞が残されていました。
今回の現場は、「コウモリが一度入った」という程度ではなく、建物を繰り返し利用していることを疑わせる痕跡が広い範囲に確認された住宅でした。
屋根の隙間から入ったアブラコウモリ
現場でまず気になったのは、住宅の外側に残っていた糞です。
アブラコウモリは、住宅などの建物をねぐらとして利用することがあり、屋根裏などに入り込むケースがあります。研究報告でも、アブラコウモリを含む一部のコウモリが家屋や建物をねぐらとして利用し、糞尿などが人との問題につながることが紹介されています。
今回も、屋根まわりや桁の隙間などを丁寧に確認していくと、コウモリが出入りできると思われる箇所が確認されました。
ここで難しいのが、「隙間を見つけたから、とりあえず塞げばいい」というわけではないことです。
コウモリがまだ建物内にいる状態で侵入口を塞いでしまえば、別の場所から出ようとして建物を傷めたり、内部に取り残したりするおそれがあります。
そのため、コウモリ対策では、まず生息状況と出入りの状況を確認してから、その後の防除と侵入防止を考える必要があります。
住宅外部に残ったアブラコウモリの糞
広島県広島市の戸建住宅で確認されたアブラコウモリの糞。侵入・飛来する場所の周辺には糞が集中して残ることがあり、建物内部への侵入経路を調べる手掛かりになります。
外側に糞が落ちている場合、そこをただ掃除するだけでは問題は解決しません。
糞が落ちるということは、その場所の上や近くをコウモリが利用している可能性があるため、**「なぜここに糞があるのか」**を考える必要があります。
今回も、外壁の汚れだけを見て終わるのではなく、屋根・軒・桁・隙間などを順番に確認しました。
糞が大量にあるということは、長期間の利用を疑う必要がある
住宅の外壁や屋根まわりには、黒っぽい糞が点々と残っていました。
一見すると、それほど大した汚れには見えないかもしれません。
ところが、一つ一つ確認していくと、特定の場所に集中しています。
そして屋根裏側を見ると、その状況がさらに明確になりました。
大量の糞が長い範囲にわたって残っています。
コウモリがその場所を継続的に利用していれば、当然ながら糞の量も増えていきます。
「昨日掃除したのに、また糞がある」
「毎朝、玄関まわりの黒い粒を掃除している」
という状態なら、汚れの問題ではなく、現在もコウモリが出入りしている可能性を考える必要があります。
雨の日には、糞が雨水と一緒に流れることも
今回の住宅で特に気になったのが、建物外部に残っていた糞の位置です。
屋根やその周辺に落ちた糞は、雨が降れば雨水と一緒に流されます。
その結果、軒先や雨どいなど、雨水が集まる場所に汚れが集中することがあります。
雨どい内部に糞やその他の汚れが堆積すれば、状況によっては雨水の流れを妨げる一因になることもあります。
コウモリ被害というと、「屋根裏に糞がある」というイメージが強いですが、実際には屋根裏→軒先→外壁→雨どい周辺と、建物の外側にも被害が広がっていることがあります。
外壁に付着したアブラコウモリの糞
広島市の戸建住宅で確認された外壁のアブラコウモリの糞。コウモリの出入り口周辺では糞が集中し、外壁の汚れや悪臭の原因になることがあります。

このような外壁の黒い粒を見て、
「砂ぼこりかな?」
「ただの汚れかな?」
と考えてしまうことがあります。
しかし、同じ場所に繰り返し付着している場合は、周辺の屋根や軒下まで調査すると原因が分かることがあります。
壁や天井に「カリカリ」「カサカサ」…音が出る理由
コウモリの被害で非常に困るのが、音です。
昼間は何も聞こえない。
ところが夜になると、
カリカリ……
カサカサ……
という音が天井や壁の中から聞こえる。
「ネズミかな?」
と思っていても、調べてみるとコウモリだったということがあります。
夜に活動する動物なので、住宅内では人が静かになった時間帯に気配を感じやすくなります。
「夜になると天井が気になる」
「寝ようとすると音がする」
「家の中に何かいるようで落ち着かない」
こうした状態が続けば、住宅で安心して生活すること自体が難しくなってしまいます。
室内から見ると、天井のクロスにも変化が出ていた
今回の現場では、屋外だけではなく室内側にも異変がありました。
天井のクロスには、ところどころ茶色いシミが確認されています。
天井のシミには雨漏りなど別の原因もあるため、シミだけでコウモリ被害と判断することはできません。
ただし、
天井のシミ+天井裏の糞+外壁の糞+夜間の物音
というように複数の症状が重なっている場合には、天井裏を確認して原因を調べることが重要です。
今回も、室内の見た目だけでは分からなかった問題が、天井裏の調査によってはっきりしてきました。
屋根・桁付近に確認された侵入可能な隙間
広島県広島市の戸建住宅で確認された屋根・桁付近の隙間。アブラコウモリの侵入対策では、目に見える穴だけでなく、建物の構造とコウモリの習性を考慮して侵入箇所を確認する必要があります。

コウモリ対策で難しいのは、人間にとって「小さすぎる」と感じる隙間が、侵入経路になることがあることです。
そのため、単純に目についた隙間へ詰め物を入れるだけでは、別の場所から出入りされる場合があります。
「穴を塞ぐ」だけでは終わらないアブラコウモリ対策
今回のような現場で大切なのは、侵入口を一つ見つけて終わりにしないことです。
コウモリがどこから入っているのか。
どこに潜んでいるのか。
どこから出ているのか。
糞はどこに集中しているのか。
屋根や軒の構造はどうなっているのか。
こうした情報を整理したうえで対策を考えます。
アブラコウモリは建物をねぐらとして利用することがあるため、建物そのものを見ながら生態を考えることが重要になります。
コウモリは「駆除」ではなく、適切な防除が必要
コウモリについて、「駆除してしまえばいい」と考える方もいます。
しかし、野生鳥獣の捕獲・殺傷は鳥獣保護管理法によって原則禁止されており、被害防止目的などで捕獲する場合にも許可制度が関係します。広島県も、野生鳥獣の捕獲は原則禁止で、生活環境被害の防止などの場合には許可を受けて捕獲できる制度を案内しています。
そのため、住宅のコウモリ対策では、「捕まえて終わり」ではなく、現在の生息状況を確認し、適切に建物から出てもらい、再び入られない状態をつくることが重要になります。
なぜコウモリ対策には日数がかかるのか
「今日調査して、今日全部塞げないのですか?」
現場では、こう聞かれることがあります。
建物の構造やコウモリの出入り状況によっては、すぐにすべての施工を完了できないことがあります。
理由の一つが、まず建物から出てもらう必要があること。
そしてもう一つが、侵入口が一つとは限らないことです。
特に瓦屋根などの場合、屋根の形状や重なり方によって確認する箇所が増えます。
一つの隙間だけを塞いで、
「これで大丈夫」
とするのは簡単です。
しかし、そこから別の隙間へ回り込まれてしまえば、また同じ被害が始まります。
だからこそ、調査から防除、侵入防止までには、建物の状態によって日数が必要になる場合があります。
放置すると、来年も同じ場所に入る可能性がある
コウモリは、一度その住宅をねぐらとして利用すると、侵入口がそのまま残っている限り、再び利用される可能性があります。
今年糞を掃除した。
今年だけ静かになった。
それだけでは、建物そのものの侵入条件が変わっていないため、再発防止にはなりません。
特に、
「毎年夏になると糞が増える」
「去年も同じ場所を掃除した」
という場合には、清掃の問題ではなく、建物への侵入そのものを考える必要があります。
今回の現場を見て改めて感じたこと
今回の広島市の住宅では、
屋根の隙間から侵入するアブラコウモリ
↓
天井裏などをねぐらとして利用
↓
糞が長期間堆積
↓
外壁や軒下にも糞が付着
↓
雨水で流れ、周辺にも汚れが広がる
↓
悪臭や害虫の発生につながる可能性
↓
夜には天井や壁から音がする
という、一つの侵入からいくつもの問題につながっている状態でした。
最初に見つかったのが「家の外に落ちている黒い糞」だけだったとしても、その裏側には天井裏や屋根の中で進んでいる被害が隠れていることがあります。
だからこそ、コウモリの糞を見つけたときには、糞を掃除することだけを考えるのではなく、「どこから来ているのか」を確認することが大切です。
そして、天井裏からカリカリ・カサカサという音がする、夜になると物音がする、天井にシミが増えた、家の外に同じ場所から糞が落ち続ける――。
こうした症状が重なっているなら、今回のような被害が起きていないか、一度確認してみる価値があります。
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